無印のUVチェッカーは残念ながら戦力外という話

計器の話は何度も何度も語ったので、ここでは省略。もう一度おさらいしたい方はこちらをチェックしてください。

UVI測定のメリットは大きく取り上げましたが、デメリットの方ももちろんあって、大きな理由の一つとして測定機器の性能がピンキリでありまして、特にキリの性能がすさまじくひどいという事があげられます。

UVI計は安価な物が多いのですが、基本的にこれらの計器というのは太陽光のみを測定する用途に作られているため、爬虫類用の照明の紫外線を測定できない場合が多いのです。

 

無印のチェッカーについて

最近TLでちょっとだけ目にした話題なのですが、無印良品からUVチェッカーが販売されていて、爬虫類飼育者が利用している、とのことでした。安価でUVをチェックできるというのは確かに魅力的であるため、今後界隈で流行る可能性もあるのかなぁ、と思い一応入手してみました。

まず最初に、計器として「どの様な数値をどの様に計るか」という説明がありません。説明書も使い方のみ・・・はっきり言ってこれは性能評価をするための計器としてはダメダメです。

トレーサビリティが取れないのはある程度仕方ないかなと思ったのですが、測定波長域や相対感度、精度すら一切記載がないので、残念ながらこれは厳密には計器として使うのは難しいですね。

ちなみに3万ぐらいのsolar meter6.5Rですらちゃんと大体の必要事項は記載してあります。(計器としては格安の部類です)

 

 

紫外線強度計に関して言えば他に選択肢がほとんどないので、これも一応プロユース仕様でもあると言えなくもないのですが、やはり他人にデータを提示するとしたらこの辺を表示するのが最低ラインである、という事を測る側は認識しなくてはいけません。

といっても別にそこまで厳密に数値が取れなくても、ある程度無難な数字が取れりゃいいや、という考えも無論できるので、測定数値の保証がなされている6.5Rと比較し、どんだけやれるんだ?というのを示していきたいと思います。

 

太陽光の測定

まずは太陽光の比較から。ちなみに測定はあくまで同条件という事を意識して行っています。灯具の性能評価のための測定ではないため、厳密な距離取りなんかは行ってません。誤差を見てください。

さて、こちらは北関東、7月22日、11時晴れの状態での測定です。

まずは6.5R

 

 

続いて無印

 

 

同じ数値を出していますね。晴天時の直射日光はしっかり測れますね。

しかし曇ると状況がやや変わります。

 

続いては北関東、7月23日、11時曇りの状態での測定です。

まずは6.5R

 

 

続いては無印

 

 

人工照明の測定

メタハラその1。自作品ですが、UVを一切カットしないように工夫したいわゆるメタハラ版裸電球といった感じの代物です。通常の飼育用メタハラの数倍のUVが出ている代物です。

 

まずは6.5R

 

 

非常に強いレベルのUVが出ているのがわかります。

続いては無印

 

 

次にソラリウム70W。評価用に購入していたピカピカの新品です。

 

まずは6.5R

 

 

続いては無印

 

 

最後に紫外線がほぼカットされている熱帯魚用のメタハラで比較しましょう。

 

6.5R

 

 

無印

 

 

その他の灯具

Zoomed T5HO 10の検証結果です。まずは6.5R

 

 

続いて無印

 

 

大分過小評価してますね。

最後に最近なぜか低評価を受けているセルフバラストです。今回は新品のソーラーグロー125Wを使いました。

まずは6.5R

 

 

続いては無印。

 

 

うーん、蛍光灯、セルフバラストは特にひどい。

 

なぜこんな事になるのか

さて、結果をざっと見ると、無印のUVチェッカーは太陽光、それも晴天時の場合は正確な数値を出し、あとはかなり雑、というかかなり突拍子もない数値を出している事がわかります。

分解して基盤までチェックしたのですが、残念ながら測定のアルゴリズムに関してはわかりませんでした。ただ結果からは大まかな事が推測できます。

まず曇り時の数値を見ましょう。無印の方は6.5Rよりも数値を大きく取る事がわかります。これは誤差の範囲、とも取れなくもないのですが、曇りの場合UVBは雲や水蒸気に吸収、散乱され大きく減衰する事がわかっています。UVチェッカーはこの減衰を検知できなかったのではないでしょうか?

この傾向は人工照明を測定するとさらに顕著になります。ソラリウムでは6.5Rの三分の一、自作の強力なメタハラに関しては七分の一、逆にほぼUVBやUVAを大幅にカットしてある熱帯魚用のメタハラでは6.5RではほぼUVIはほぼ0に近い数値を出しているにも関わらず、無印のチェッカーでは2.0と比較的高い数値を出している点も着目すべきでしょう。

UVB源としては非常に優れているT5HOの10%ではほぼ検出せず、セルフバラストでもそれはそれはひどい数値をたたき出しています。

 

まとめ

以上の点から

・無印のUVチェッカーは太陽光を測定する目的で作られており、太陽光のスペクトルから外れる光に関しては精度がどんどん落ちていく。

・UVB域を検出する事はできない。

・UVA域に関しても低波長域はほぼ検出する事はできない(熱帯魚用メタハラの比較より)。

・特に蛍光灯、セルフバラストにおいてはかなり数値が低く出る。

・点、もしくは非常に狭い範囲で太陽光との近似を行い、数値を出すため、スペクトルの異なる照明を比較する事に関しては全く期待できないのではないか?(光源の種類により誤差が大きく異なるため)

・劣化についても検出できるとは限らない。(照明の劣化でスペクトルが全域で一律低下する訳ではないので)

という事になります。

 

残念ながら無印のUVチェッカーは爬虫類の照明を検査するには一切向かない事がわかりました。お肌のケアや夏休みの宿題ぐらいですかね、用途は。

基本的に私は商品について完全に否定することはしない主義なのですが、こと計器に関しては誤った計器を使って出したデータを流してしまうと、商品や他人の飼育環境を無意識に毀損してしまう可能性があります。一人で遊ぶ分には別に何してもいいのですが、個人的な結論としましては無印の紫外線チェッカーを爬虫類飼育者が使うのは意味がないのでやめましょう、という一点に尽きます

 

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